青零(セイレイ)

映像制作・作詞担当のアオねこ(aoneko)と、ボカロP・トラックメーカーのヒズミ零(cutable)の情報をまとめた公式ブログです

【楽曲解説】Metamorphose2800

楽曲情報

GGE. Records『Unchange:175』Track.01

Metamorphose2800

 

楽曲の試聴はこちら

 

楽曲のダウンロード(フリー)はこちら

こんばんは、cutableです。

今回も元気よく楽曲解説していきましょう。

まぁ、前回の記事から続けて書いてるんですけど…。正直疲れてしまってやや体調が悪い…。

とりあえず、僕の曲をまだ聴いてない方は是非アルバムをダウンロードして、アルバムを聴きながらこの記事を読んでください。

Soundcloudに上げてる試聴は諸事情により尺が超短いので…。

 

曲名の由来

曲名は「Metamorphose2800」です。

メタモルフォーゼとはどういうことなのでしょうか。そしてこの数字の意味とは…。

衝撃の事実が、今、明かされる…。

…茶番は置いといて、解説に入りましょう。

 

曲の始めの部分をよーく聴いてください。ガバキックが鳴っていると思います。

そのガバキックの部分をよーく聴いてみてください。

「ゴーゴーゴーゴーゴーゴーゴーゴーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴドゥルルルルルルルルルルルルルブーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」

という感じで、ガバキックがだんだん速くなっていき、最終的には音が繋がってしまいます。そして、

「ッブー、ッブー、ッブー、ッブー、ッブーッブーッブーッブー」という感じに、音が繋がったまま曲が進んでいきます。

 

もうお分かりいただけたでしょうか。実はこの曲、ガバキックを高速で鳴らして音を繋げ、ベースの変わりにしてるんです。

さらに言うと、その後ガバキックで作ったベースは「ブゥゥゥゥウォオオォォォォォオォォォォンン⤴」と音程変化を始め、ワブルベースのようなものに変化します。

なので、この曲で鳴っているように聞こえる「ベースのようなもの」は、実は全てガバキックなんです。衝撃の事実。

 

ちなみに、ガバキックでベースを作る技法は、僕が一番好きなコンポーザーであるKobaryoさんという方がかなり前に開発しています。

例えばこの曲とか…。

ただし、ガバキックをピッチ変化させてワブルベースっぽくする技法はこれまで見たことがありません。

多分僕が世界で初めて開発した技法だと思います。ノーベル音楽賞があったら受賞したい。

もしかしたら世界のどこかで誰かが既にやってるかもしれませんが、この技法は音楽を作っているときに偶然見つけた技法なので、「自分が見つけた!」感があります。

ちなみにこの技法は今後あらゆる楽曲で使用していくことになります。

現に、前回紹介した「!!!DANGER ZONE!!!」でも使っているので…。

 

そして、もうお察しかもしれませんが、ガバキックがベースに「変化」するというところから「Metamorphose」という曲名をつけました。

そして、2800というのはBPMのことです。2800BPMでガバキックを鳴らしています。

だから、「Metamorphose2800」という曲名になりました。安直といえば安直。

ちなみに、僕は「Metamorphose」の綴りを覚えていません。

書くときは予測変換頼りです。作曲者なのに。

 

レギュレーション違反疑惑

ところで、この曲が収録されている『Unchange:175』には、とあるレギュレーションが存在します。それは、

BPMが175一定であること

というものです。

そのため、BPMを上げたり下げたりするのはもちろん禁止だし、倍取りするのも禁止です。

なんですが、僕は2800BPMの曲を応募しました。

175BPM限定のコンピに2800BPMの曲を応募しました。

本当に馬鹿です。本当にありがとうございました。

他にもレギュレーション違反疑惑がいくつかあるので、列挙してみましょうか。

 

Drumstep地帯とBassline Hardcore地帯

まず、Drumstepっぽくなる地帯があると思います。

DrumstepはDrum'n'BassとDubstep(Brostep)を混ぜたジャンルなのですが、曲調に変化を付けるため、ハーフテンポにすることがあります。

なので、この部分は体感的に87.5BPMに感じられてしまうんですよね。

 

また、中盤のBassline Hardcore地帯ではキックを不規則に連打しまくっているので、今度は逆に350BPMに感じられてしまいます。

これはレギュレーションに違反してそうですが、理論的には175BPMなので多分問題ないのだと思います。

 

ベースが2800BPMである

これは前々から言ってることです。ガバキックが最初から最後まで2800BPMで鳴りまくっています。

でもまぁ、2800BPMともなるとその速さを体感することはできないので、これもまぁセーフでしょう。

 

フィルがSpeedcore

曲が展開するときや、小節の変わり目にちょくちょくフィルを入れていますが、このフィルもガバキックで出来ています。

しかも、ガバキック連打。ここだけ聴くと完全に倍取りしたSpeedcoreです。レギュレーション違反。

 

でもまぁ、フィルって打楽器を連打するものだし、BPMにはカウントしない効果音的なものなので、これもギリギリセーフでしょう。

ただし、Speedcoreに変化していると捉えたら普通にアウトです。これはあくまでフィルです…。そう、これはフィルなんだ…。

 

ラスサビで倍取り

これまでは「ギリギリセーフ」なレギュレーション違反をしてきましたが、ラスサビでガバキックが完全に倍速になっています。

完璧にレギュレーション違反です。本当にすみませんでした。

だって、どうしても倍速にしたかったもん…。

倍速にしないとアイデンティティが崩壊してしまう病気なので、大目に見てください。

 

ただ、ミックスが下手であんまりキックが聴こえないので、体感的には175BPMですと言い訳しておきます。

あと、スネアはちゃんと175BPMで鳴らしてるので。

それと、単なるビルドアップだと捉えればセーフのはず…。

こういうのを「正当化」と言います。覚えておきましょう。

 

ちなみに、僕の曲はアルバムの1曲目に配置されています。

1曲目ってアルバムの顔とも言えるトラックが配置される場所なので、とても光栄です。

それにしても、レギュレーション違反ギリギリの曲をアルバムの頭に持ってきて良いんだろうか…。

 

曲の構成とかメロディとか

イントロ

この曲は突然ガバキックから始まります。

普通、曲の冒頭ってスウィープとかのFX系の音から始めることが多いんですが、めんどくさかったので付けませんでした。

一応つけようとは思ったんですが、あんまり上手くいかなかったうえ、無くても良い感じな気がしたので付けませんでした。

なので音量注意です。この曲無駄に音圧が高いので…。

 

最初はMainstream Hardcoreって感じです。

ただ、キックの詰めが甘いのでモダンな感じのキックではないですね。

もうちょっとカッコいいガバキックが作れるようになりたい。

前述しましたが、そのガバキックが2倍速になり、4倍速、8倍速…そして16倍速になって、ベースへと変化します。

ここではキックとベースを交互に置いているのでUK Hardcoreっぽい感じです。

 

1番ベースドロップ 

次に、ベースがピッチ変化を始め、声ネタを挟んでDrumstep地帯に突入します。

もう一度言いますが、このワブルベースっぽいものはガバキックです。

騙されちゃダメです。あなたは2800BPMのガバキックを聴かされています。

 

1番ビルド/ドロップ

Drumstep地帯を過ぎると、UK Hardcoreっぽくなります。

ここもベースはガバキックです。

本当はここでもガバキックにピッチベンドをかけて音程を付けたかったんですが、元のガバキックの音程が中途半端だったらしく、うまく音程を付けられなかったので断念しました。

なのでベースの音程は一定です。この曲のスケールはF#なので、ベースの音程はF#に近いものになっています。

というより、ガバキックを2800BPMで鳴らしたらF#っぽい音になったので、それに合わせてスケールをF#にしたっていう感じです。

 

2番ベースドロップ

1番目のサビが終わると、またガバキックがピッチ変化を始めます。

曲の最初では「ブゥゥゥゥウォオオォォォォォオォォォォンン⤴」と音が上がりますが、今度は「ギュォォォオオオオォォォオオオォォォォォォオン⤵」と音が下がります。

ちょっとだけ変化を付けたかったんです。面白いですよね。

そして、Footwork寄りのBassline Hardcoreに変化します。

キックが不規則に鳴るのに合わせて、ワブルベース(に見せかけたガバキック)がけたたましく鳴り響きます。

ここの勢いは個人的に気に入っているんですが、皆さんはどう思われるでしょうか。

 

2番ビルド/ドロップ

その後、再びUK Hardcoreに戻ります。言うまでもなくベースはガバキック。

ここのメロディは1番のそれとは少し変えています。

ここも少し変化を出した方が面白いかなと思ったので変えてみました。

コード進行は一緒なので、別のバリエーションを考えるのは簡単でした。

 

そしてラスサビ。転調して倍速になります。盛り上がるけど、レギュレーション違反です。

非合法の悦びです。脱法Speedcoreをキメて気持ち良くなりましょう。

最後に、Drumstepを経由してMainstream Hardcoreっぽくなって曲が終わります。

本当はDrumstepで終わらせるつもりだったんですが、もし仮にこの曲をDJで使うとしたらあまりに不便なので、アウトロを付けました。

 

コード進行はネットで適当に拾ってきたやつを自分なりにアレンジして作りました。

メロディもノリで考えました。このときは結構ノリで案外良い感じのメロディが書けていました。

なんですが、今は全く良いメロディが浮かばないスランプ状態です…。助けてくれー!

 

使用した音源とかプラグインとか

さぁここからが本番ですよ。金を溶かす準備はできましたか。

 

ガバキック

まず普通のキックですが、これにはサンプルパックを使用しています。なのでSonic Academy「Kick 2」は使用していません。

その代わり、ガバキックにKick 2を使用しています。これも毎回のことなのでもう説明を省きたい…。

 

ベース 

そして、前述しましたが、ベースはガバキックで作っているので、ベースにシンセは使用していません。

本当はサブベースを重ねて低音を補強しようと思ったんですが、それなら最初から普通にシンセでワブルベース作れよってなるのでやめました。

あと、ガバキックにFine Cut Bodies「La Petite Excite」というフリーのエキサイターをかけたり、Fabfilter「Pro-Q」で低音を持ち上げたりしたら良い感じに低音が出たので、サブベースを敷く必要が無くなりました。

 

コード 

次にコードです。コードはDrumstep地帯で使ったプラックっぽい音と、Hardcore地帯で使った「いかにもシンセ」って感じの音の2種類を使っています。

どちらもXfer「Serum」を使って音を出しています。

 

前者はLP24AUDIOの「Serum - Essential Pluck Collection」を、後者はBLACK OCTOPUSの「Limitless 2」というシンセプリセットを使用しています。

 

前者のシンセプリセットにはプラックの音が大量に入っています。

プラックで迷ったときはこのシンセプリセットから探すことが多いです。

今回は「PLUCK - All But Silent V2」を使用しました。

後者のシンセプリセットには「1」もあるので、こちらも買っておきましょう。

今回は「2」から「CHORD - SUPER Duper Saws」を選びました。

(後日談ですが、Limitless 3がリリースされました。ほしい)

 

余談ですが、前者のシンセプリセットを販売しているSonicwireのページには「ダンスミューッジク」というめちゃくちゃ面白い誤字があります。

 

アルペジオ

サビとかで鳴らしているアルペジオにはSPECTRASONICS「Omnisphere 2」を使用しています。

このシンセは1から音作りをするというより、プリセットを読み込んで微調整するという使い方が主となります。

その分、プリセットは非常に豊富で、1万を超えるプリセットが用意されています。

今回は「Anticpation of Energy Pluck 1」というプリセットを使いました。綺麗な音です。

 

ピコピコ音

それから、曲の序盤と終盤で一瞬だけ鳴るピコピコサウンドはSerumです。

この音はなんとまさかまさかの「自作」です。あんだけシンセプリセット買ってんのに…!

音作りはこの動画を参考にしました。

動画の通りやれば簡単にピコピコサウンドが作れるので面白いです。Serumの勉強にもなります。

 

リード

サビとかで鳴らしてるリードは3つ重ねています。今回使ったシンセはKV331「SynthMaster」です。

今回、曲の雰囲気に合う良い感じのリードがなかなか見つからず、かなり苦戦していました。

ですが、Sonicwireでこのシンセが偶然セールで販売されていたので購入してみたところ、めちゃくちゃ良い感じにハマってくれました。

今回は「LD Anthem」「LD Freaky UK」「LD Tremolo」の3つを重ねています。

もう少し重ねても良かったかもしれない。もうちょっとデチューンした方が太さが出たかな…。

ただ、このシンセ、後日書くと思いますが致命的なバグがあり、今では怖くて使えないシンセになってしまいました…。残念…。

 

ちなみに「Everything Bundle」は、追加シンセプリセットが大量に入っています。

僕はそちらを買いましたが、未だにインストール方法がよく分からず放置しています。

 

音圧上げ

あと、全体的にFabfilter「Pro-C」Dada Life「Sausage Fattener」を使用して音圧を高めています。

後者はマキシマイザーではなくサチュレーター(ディストーション)なんですが、どうやら音圧を高める効果があるらしいです。

倍音が付加されるので、リードとかにかけると存在感が増します。

今回無駄に音圧が高いのは、丁寧にコンプレッサーをかけたりサチュレーションをかけたりしたからかもしれません。

 

使用したサンプルパック

僕の本業です。全力で布教していくので覚悟してください。

 

キック 

まずキックですが、これにはZENHISER「Extreme D&B Drum Hits」を採用しました。

これはドラムンベース向けのキック、スネア、ハイハット、パーカッションなどのリズム隊のみを収録したサンプルパックです。

その中から「059_Kick_-_EDNBDH_Zenhise」を選んで使っています。

 

Drum'n'Bassのキックは割とハードなので、UK  Hardcoreのキックとしても使えなくもないです。

ただ、このサンプルパックのキックはサチュレーションが強くかかっていて、低音のアタック感が弱い気がします。

でもまぁ、他のキックを重ねれば良い感じになると思います。

 

スネア

スネアはZENHISER「Extreme D&B Drum Beats」を使っています。

上記のサンプルパックと似ていますが、上記のサンプルパックはドラムワンショット素材であるのに対して、こちらはドラムループ素材です。

100パターンのドラムループを

  • フル素材
  • キックだけ抜いたスネア+トップ素材
  • スネアのみ素材
  • キック+スネア素材

の4パターンずつ収録しています。個人的にはスネア抜きのトップス素材が欲しかったんですが…。

ドラムループの中に良い感じのスネアがあったので、スネアの部分だけ切り取って使いました。

「001_d__Drum_Beat_175bpm_-_EDNBDB_Zenhiser」です。

 

スネアのワンショットなら「Extreme D&B Drum Hits」使えば良いじゃん、と思うかもしれませんが、イメージ通りのスネアが無かったので、仕方なくこちらを使いました。

ちなみに、どちらもやや歪んだ音が多い印象があります。

ハードなNeuro Funkとかに合いそうな感じです。Liquid系には向かない気がします。

ZENHISERのサンプルパックは値段が高い分クオリティも高いですが、扱いはやや難しいかもしれません。

でもとっても面白いサンプルパックなのでお勧めしておきます。

 

トップス

ハイハットやパーカッションなどのトップスには5PIN MEDIA「Liquid Drum & Bass Horizons」を使いました。

トップス素材が欲しい方はこういう感じのサンプルパックを別途購入しましょう。

今回は「LDH_wiggle_tops_172」を使用しました。

ちなみに僕はLiquid Drum'n'Bassが大好きなので、Liquid Drum'n'Bass系のサンプルパックは大量所持しています。

Liquid Drum'n'Bassのサンプルパックはジャケットがオシャレなので集めたくなるんですよね。

まぁ、ジャケットが表示されるわけではないんですが…。

 

エフェクト

そして、毎回紹介してるからいい加減解説がめんどくさくなってきたライザーとドロップ。

SOUNDBOXの「Impact, Risers & Drop 7」です。

ライザーは「SB_IR&D_7_128_RISER_002」ドロップは「SB_IR&D_7_128_DROP_028」。

っていうかvol.1~7まで全部買ったのに、結局6とか7ばっかり使ってる気がします。

 

声ネタ 

一番説明が必要なのは声ネタです。今回は4つも声ネタを使っています。

声ネタにはPUSH BUTTON BANGの「EDM Drop Vocals」と「EDM Drop Vocals 2」を使いました。

前者からは「EDV_I_LIKE_TO_PARTY」と「EDV_REDEMPTION」と「EDV_ARE_YOU_READY_04」を、後者からは「EDV2_MA_LETS_GO」を使用しています。

 

今回選んだ声ネタは「Let's Go!」を除き、全てKobaryoさんが使っていた声ネタです。

「I like to party!」と「Redemption.」は『Galaxy Friends』で、「Are you Ready!」は『Endless Adventure』で使用されています。


「Let's Go!」は勢いが良かったのでノリで使いました。ピッチは上げています。

あと、そのまんま使うと「I like to party!」が浮いてしまったので、ピッチベンドをかけています。

関係ないですけど、「Redemption.」はそこらじゅうで聴きますね。僕もここらで便乗しとくか、という感じで使いました。

 

終わりに

今回の曲は比較的自信作です。

リードの音がちょっと惜しいかな…という感じはしますが、ガバキックで作ったワブルベースは割とカッコいいし、音圧もミックスも悪くない気がします。

是非ともアルバムをダウンロードして聴いてみてください。

 

余談なんですが、7曲目の「Can't Get Back」という曲、思いっきり倍取りしてて笑いました。

真っ向からレギュレーションに逆らってて「スゲェ…」と思いました。

しかもただのSpeedcoreじゃなくてよりにもよってFlashcoreです。すごい…!この人すごすぎるぞ…!

Flashcoreのキックの作り方が未だに分からないので是非とも教えてもらいたいです。

僕も思い切りレギュレーション違反した方が良かったのでは…。

 

というわけで、本日の解説でした。結局、徹夜して書き切ってしまった…。

今日は2本も記事を書いてしまいました…ただ、この記事はストックとして保存されるので、公開は後日になると思います。

 

…って感じで軽く推敲してから今日記事を出したというわけなんですが、今日はKobaryoさんの誕生日だそうですね。おめでとうございます。

Twitterでおめでとうございますリプを送ったらふぁぼを頂けたので幸せです。もう死んでもいい。

 

それと、Kobaryoさんが欲しいものリストを公開していたので、お米を送りました。

「お誕生日おめでとうございます!」というメッセージを添えて送ったので、なんか誕生日プレゼントとして米を送った変人みたいな感じになりました。

 

それでは、さようなら~。