青零(セイレイ)

映像制作・作詞担当のアオねこ(aoneko)と、ボカロP・トラックメーカーのヒズミ零(cutable)の情報をまとめた公式ブログです

【楽曲解説】Lonely Sick Dimension

楽曲情報

cutable『Dream Diary Page.01』Track.04

Lonely Sick Dimension

 

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Downtempo Psy? Psychill? Psybient?

4曲目です。頑張っていきましょう。

 

今回のジャンルはDowntempo Psyです。Psy、すなわちサイケデリック。

麻薬をキメたときのような、幻覚的で、陶酔的で、良い意味で気持ち悪い音で構成されたジャンルです。麻薬をキメたことがないので分からないけれど。

 

基本的にPsychedelicと言えば、PsyTranceのことを指します。

トランスはTrance=恍惚・陶酔ということもあり、サイケと相性が良いのでしょう。

トランス自体、幻想的なジャンルですが、それをもっとエグく、カッコよくしたのがPsyTranceですね。

 

PsyTranceは基本的に140~150BPM前後です。

それを170~250BPMくらいに速めるとHitech PsyTranceというジャンルになります。

Hitech PsyTranceはサイケのイケイケ感を残しつつスピーディーに変化したジャンルなのでとてもかっこいいです。

ちなみに現在、SpeedcoreになるHitech PsyTranceを作っています。次のボカロ曲です。

 

PsyTranceのサブジャンルについては↓のサイトがすごく詳しいです。

英語ですが、とても参考になります。PsyTranceとPsychedelicは別ジャンルなんですね。

 

問題は、遅くした場合。

60~100BPMくらいに減速させるとPsybientというジャンルになります。

しかし、このPsybientには色々な別称があって、

  • Psybient
  • Psychill
  • Downtempo Psy

など、色々なジャンル名が並んでいます。Psychedelic Chilloutとかいう呼び方もあるみたいです。

で、これらは同一のジャンルと見なされることが多いのですが…。

Psybientって、いろいろパターンがあるんですよね。

 

例えば、PsyTranceを普通に遅くしただけみたいな、アグレッシブなPsybient。

例えば、チルアウトな雰囲気はありつつも、キックが残っているPsybient。

例えば、キックも無くなって、Ambientにかなり近いPsybient。

など…。

 

これらを一括りにするのは、個人的にはちょっと嫌です。

なので、勝手ではありますが、

 

Psybient

チルアウトな雰囲気。キックは鳴らない。Ambientに近い。

 

Psychill

チルアウトな雰囲気。キックが鳴る。Chill out / Downtempoに近い。

 

Downtempo Psy

普通のPsyTranceの雰囲気。キックが鳴る。PsyTranceに近い。

 

といったように言葉を使い分けています。

社会的に普及した区分ではありませんが、ジャンル名から考えるとそのように捉えるのが一番かなと思いました。

 

だって、チルい気分になりたいときに、キックがドンドン鳴り始めるPsybientとか聴きたくないですよね。

逆に、遅いテンポでノリたいのに、キックが鳴らずにほわほわしたPsybientも困ります。

なので、ジャンル名は分けた方が好みだなぁと思う次第です。

 

今回は、Psychill…キックは鳴るけどチルアウトな雰囲気…を目指しました。

が、いつの間にかDowntempo Psy…チルアウトな雰囲気じゃない…曲になっていました。

もう少しパッドの音とかを足してチルアウトな雰囲気を演出した方が良かったかもしれません。

 

Lonely Sick Dimensionについて

曲名を直訳すると「孤独で病んだ空間」となりますが…。

実はこれ、頭文字が「LSD」になっています。

LSDといえば、まぁ…アレですよね。キメるとお縄につくことになる、アレ。

 

やっぱりサイケといったら薬なんです。歴史的にもジャンルの特徴的にも、サイケと薬は切っても切れない関係にあります。

なので、薬の名前を盛り込んだ曲名にしたいな~と思っていました。

ただ、「LSD」としてしまうのは安直すぎる気がしたので、LとSとDで始まる単語を探してこの曲名にした、という感じです。

 

ちなみに、僕のお兄ちゃんから教えてもらったんですが、「LSD」というゲームがあるらしいです。

そのゲームは「ゆめにっき」と同じく夢のなかを彷徨うゲームだとか。

そのゲームのタイトル画面で、「L」「S」「D」を頭文字にした文章が現れる…らしいです。偶然ですね。

 

この曲は割とサンプルパックに頼らず頑張って作りました。

Psybient系のサンプルパックがあんまり無いんですよね…売られているのはだいたい140~150BPMくらいの素材です。

無いわけではないです。実際、Psybient系のサンプルパックを2個くらい買ったのですが、なんか思った通りの素材が無く、結局ほとんど使いませんでした。 

 

その代わり、サイケ特有の「プォーン…」という音(Zap、ザップと言います)はシンセプリセット頼りです。

サンプルパックに頼らない分、シンセプリセットにめちゃくちゃ頼りました。

 

ちなみに、この曲は100BPMです。キリが良い数字ですが、「Lonelyと銘打っているし、孤独感を出したいなぁ」と思ったので、「1」のみが存在し、あとは「0」すなわち虚無、である100BPMにしました。

無論、そんなことをしても実際に孤独感が伝わってくることはありません。単なる言葉遊びです。

 

使用した音源

ベース

サイケで一番特徴的なのは「でんでででんでで…」と暗く鳴るベースです。

このベースにはReveal Sound「Spire」を使いました。

 

シンセプリセットはTRANCE EUPHORIA「Future Psy Trance for Spire」から「Bass - Motra」を選んでいます。

ちなみにこのシンセプリセットは2もあります。それも書いておきますね。併せて買おう。

 

パッド

パッドにはXfer「Serum」を使っています。

 

LOOPMASTERS「Ambient Sound - Serum Presets」から「PW122_Drones_Thin」を選びました。

ちなみにこのシンセプリセットはPatchworxというシリーズもので、シリーズ122番目のシンセプリセットです。

僕はこのシンセプリセットをコンプリートすることを一つの目標にしています。

使うかどうかは分かりません。

 

なんかキモい音 

曲の後半で鳴っている「デデデデデデデデwwwwミョンミョンミョンミョンミョンミョンwwww」みたいな気持ち悪い音もSerumです。

これ、実はサイケのシンセプリセットじゃないんです。

LP24AUDIO「Serum - Essential Pluck Collection」というプラック専門のシンセプリセットです。

こいつの「PLUCK - Bright N Vivid」というプリセットなんですが、何故かめちゃくちゃサイケみたいな音がします。

この音を見つけたのはマジで奇跡だと思う。

 

サイケザップ 

そして、「プォーン…」というザップの音にもSerumを使っています。

これにはシンセプリセットを大量に使っていて、書くのが大変です…。が、書きます。

 

ZENHISER「PsyTrance for Serum」から「Zap1 - PSYFORSERUM Zenhiser」と「Zap5 - PSYFORSERUM Zenhiser」と「Zap6 - PSYFORSERUM Zenhiser」。

ZENHISER「PsyTrance for Serum 3」から「Zap03 - PSYFORSERUM3 Zenhiser」と「Zap05 - PSYFORSERUM3 Zenhiser」。

ZENHISER「PsyTrance for Serum 4」から「Zap 01 ZPS4 - PSYFORSERUM4 Zenhiser」と「Zap 02 ZPS4 - PSYFORSERUM4 Zenhiser」。

この7つのプリセットを良い感じに組み合わせています。

 

ちなみに、1と3と4があるということは、2もありますし、なんなら5もあります。

全部載せておくので買ってください(ただし異様に高い)。

 

 

買った当初は「あんまり使いやすいシンセプリセットではないなぁ…」と思っていたんですが、使い道が見つかれば割と使えるプリセットだなと気が付きました。

ただし、ベースのプリセットは思っているのと違いました。あと、プリセット名の表記揺れが何とも言えずもどかしいです。

でもZENHISERは好きだよ。全製品集めたい。

 

使用したサンプルパック

ドラム

まずはドラムです。

 

キックにはFAMOUS AUDIO「Psytronica」から「PSYT_Kick_Hidd_FA」を使用しました。

スネア、ハイハットも同じサンプルパックから使っています。それぞれ、「PSYT_Snare_Ice_FA」と「PSYT_Hihat_Micro_FA」です。

 

このサンプルパックはパッケージに「Psychill」とか「Psybient」とか書いてあるので嬉しくなって買っちゃったんですが、正直そんなにサイケ要素なかったです…。

普通に良い感じのアンビエント素材が揃っている感じです。良いんだけど、期待とは違った…。

 

パーカッションとしてタンバリンの音が入っていると思いますが、これはLOOPMASTERS「Psychedelic Dub & Glitch」の「DnG_93_Tambourine_2」です。

僕このタンバリンの音めちゃくちゃ好きなんですよね~リズミカルですごく使いやすいです。便利すぎるのでこの前使い回ししました。

 

こちらのサンプルパックはかなりサイケ感があります。さっきのサンプルパックとは大違い。

しかもBPMが低めなのでPsybientとかにぴったりです。そのうえサンプルの数が半端なく多いです。

値段が死ぬほど高いのはそのためだと思います。高すぎる。

 

フィル

曲の展開が変わるところにはリムショットとフィルインを入れています。

リムショットにはBLACK OCTOPUS「Ambient Rimshot by AK」の「AR_Rimshot_055」を使っています。

それだけだとちょっと変なので、逆再生した音を前に重ねています。

 

フィルインはKYMOGRAPH「Acoustic Breaks Loop」の「06_Acoustic_Breaks_Loop_BPM100」を使っています。

KYMOGRAPHは日本の超有名コンポーザーのお二方がプロデュースしているサンプルパックレーベルなので抜群に音のクオリティが高いです。

 

ただ、プロモーションに力を入れ過ぎ、めちゃくちゃ名の知れたサンプルパックになってしまったため、同業者にはすぐバレるというリスクを伴います。

ボカロ曲みたいに、別の分野でこっそり使うとバレにくいと思います。EDMとかDubstepとかで使うとすぐバレると思います。多分。

サンプルパックは、想定された使い方とは違うような使い方をするとグッドです。多分。

 

アンビエンス 

そして、パッドというかアンビエントチックな音には、これまたLOOPMASTERS「Psychedelic Dub & Glitch」を使用しています。

 「DnG_Atmos_Mverse_Misty_72」を使いました。良い音ですね。

 

展開の変わり目に差し込んでいるエフェクトも、このサンプルパックから選んでいます。

「PC_140_SWEEP_021」と「PC_140_SWEEP_008」ですね。特徴的な音で面白いです。

 

このサンプルパックからこんなにサンプルを使っていたなんて、今初めて知りました。

音を選ぶときは脳死状態で直感的にやってるので…。

やっぱりこのサンプルパックが一番使いやすいかもしれませんね。高いけど。

 

 

静かで遅いサイケって良いね

僕はもともとサイケが好きなのですが、アンビエント系の曲も好きなので、その融合であるこれらのジャンルはなおさら好きです。

ただ、Psybient系の音楽を作っているアーティストさんはあまり多くないので、少し寂しいです。

海外ではかなり多いんですけどね。

 

なので、Psybientを探したいときはこちらのYouTubeチャンネルが参考になると思います。 

Psybient系の音楽のミックス動画が数百本上がってます。強い。

僕はこのチャンネルから再生リストを作って、聴きながら寝ることがあります。

 

というわけで、皆さんも良いサイケライフを~またね~