青零(セイレイ)

映像制作・作詞担当のアオねこ(aoneko)と、ボカロP・トラックメーカーのヒズミ零(cutable)の情報をまとめた公式ブログです

【楽曲解説】Die / Live

楽曲情報

ささらすぴん『一秒入魂』

Disc.01/Track.05

Die

Disc.02/Track.35

Live

 

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M3初参加しました

というわけでおはようございます~cutableです。

今回は小金井ささらさんのコンピレーションアルバム「一秒入魂」に2曲提供いたしました。

このアルバムはM3で配布されたので、僕の人生では初のM3参戦となります。

 

ただ、このアルバムはかなりの際物でして、アルバム名にある通り「1秒以内の曲」限定のコンピレーションです。

なので、ほとんど曲として認識できる曲ではありません。もはや効果音です。

それゆえ「これが僕の初M3参戦曲か…」と思うとやや複雑な気持ちになります。

 

1秒以内の曲なので、音源もサンプルパックもちょっとしか使ってません。

なので、普段とは記事の書き方を変えます。

 

Dieの裏話

当初は「Die」の1曲だけを寄稿する予定でした。

「Die」は何の捻りもないエクストラトーンです。

ガバキックがちょっと鳴ったあと「Die!!!」と言われます。

なんとも言えない嫌な気分になる曲です。

 

この曲名には様々な憎悪や怒り、憎しみなどを込めています。多分このときの僕は相当病んでたんだと思います。

特に意識していたのは「音圧戦争」に対する憎悪です。

といっても、僕は音圧を上げることにそこまで抵抗がありません。むしろ賛成派です。

チルアウト系の音楽を作るときは音圧をそこまで上げませんが、スピードコアを作るときは極限まで音圧を上げます。

 

「かつての音圧戦争」は、音圧を高めたい人同士が、どれだけ音圧を上げられるか競い合う、単なる競争のようなものでした。

確かにこれには冷戦的な要素を感じますが、血で血を洗うような残酷さはまだありません。

捉えようによっては単なる競争です。ただのかけっこです。

 

しかし、「現在の音圧戦争」とは、音圧を上げる人vs音圧を上げたくない人の議論の応酬です。

そこでは、気に食わない思想の持ち主を論破してやろうという敵意、自分こそが正しいのだという思い上がり、自分が音楽業界を正しい方向に導くんだという歪んだ正義感など、人間の愚かしい一面が渦巻いています。

 

これは戦争と比喩しても問題ないでしょう。

気に食わない思想の持ち主を排除しようとするのは宗教戦争と何ら変わりありません。

自分こそ正しい、自分こそが世界を正せるというのはナショナリズム的な雰囲気を孕んでいます。

現在の音圧戦争は、まさに「戦争」なのです。

 

音圧を上げるか上げないかは各人の自由です。

音圧を上げたことにより音楽が破綻しようがダイナミクスが死のうが、制作者がそれで良いと思えば、それで良いのです。

その行為が他人から好かれるかどうかは別ですが、少なくとも、私達は他人の行為に口出しする権利などありません(法に触れるような行為は別ですが…)。

 

にもかかわらず、音圧を上げたい派は相手の音楽を「しょぼい」と言うし、音圧を上げたくない派は相手の音楽を「商業主義の末路だ」とか言うのです。

そして、相手に「音圧を上げる」あるいは「音圧を下げる」ことを強要するのです。

 

そもそも音楽のダイナミクスが生きてくるのは、生楽器を多用したジャンルです。

例えばクラシック、ジャズ、ロックなど…ロックは詳しくないので分からないのですが…。

逆に、EDMやHardcore Technoなどのシンセ中心のジャンルでは、ダイナミクスよりも箱鳴りの方が重要です。

ゆえに、音圧を上げる必要が出てくるわけです。

 

クラシックやジャズで音圧を上げたら大変なことになります。それこそダイナミクスが死んで、音は割れ、散々な結果になるでしょう。

しかしエレクトロミュージックは違います。元からそれほどダイナミクスなどないので、音圧を上げても音楽はそれほど破綻しません(やりようによっては破綻することもありますが…)。

 

音圧戦争とは結局、目指している音楽の方向性の違い、というより、ぶっちゃけて言えば主に制作している音楽のジャンルの違いで生まれているように感じます。

クラシックやジャズ派が音圧上げたくない派、EDMやHardcore Techno派が音圧上げたい派におおよそ属しているという見解です。

互いに思想が真逆なので、互いを理解し合えず、戦争状態になっているのでは無いでしょうか。

 

いずれにせよ、音楽は自由です。相手がどんな音楽を作ろうと、それは相手の自由なのです。

「音圧を上げてみたらどう?」「音圧を下げてみたらどう?」と提案してみる権利はありますが、「上げろよ」「下げろよ」と強要する権利などどこにもないのです。

相手を見下すのは個人の思想の範疇なので勝手にすれば良いですが、それは人としてどうなのか…と思わなくもありません。

 

自由に考え、自由に行動する権利が我々にはあります(法外行為をする権利はありませんが…)。

そんなこと、日本国憲法にも書いてあります。小学校でも習います。中学生でも分かります。

そんな単純なことを、さぞかし偉そうに物を語る音楽の専門家が理解していないなんて、あまりに嘆かわしいことです。

 

「相手の自由を認める」という至極単純で簡単なことがどうして分からないんだ、どうして分かってくれないんだ…という行き場のない怒りが渦巻き、最終的に

 

Die

 

という3文字に行き着いたわけです。

僕も、音圧戦争に巻き込まれた犠牲者の1人なのです。戦争は人間の心を歪ませます。

結局、僕も音圧下げたい派に対して憎悪を向けることしかできなかったのです。

音の歪みの前に、まずは自分の心の歪みを気にしたいものです。

 

Dieについて

重苦しい話が続いたので、軽い話に戻したいと思います。

 

ガバキックはいつも通りSonic Academy「Kick 2」を使用しました。この1秒のためだけに、30分くらいかけてキックを煮詰めました…。

 

声ネタはPUSH BUTTON BANG「EDM Drop Vocals - Hooks, Screams and Shouts」から「EDV_DIE」を使いました。

 

ピッチを下げたうえ、スピードを速くしています。

元素材は「ダァァアアァァァイィィィ!!!!」という感じですが、加工して「ダァイ!」と歯切れ良くしています。

ちなみにこの声ネタはKobaryoさんも使っていました。

 

あと、うっすらノイズ系のサンプルを重ねたのですが、ミックスが悪かったのか、全く聴こえません。 

なので紹介はナシということで…。

 

それから、音圧戦争に対する憎悪に満ちているので、音圧は極限まで上げました。

多分ここまで音圧を高めることは今後無いと思います。そこまで上げる必要もない気がします。

これ聴いて鼓膜破れればいいのに。一瞬そう思ったかもしれないし思ってないかもしれない。

 

Liveについて

当初は「提出は1人1曲まで」だったのですが、途中から「2曲目の応募もOK」となったので、急遽2曲目も制作しました。それが「Live」です。

 

内心「エクストラトーンで応募してくる人、そこそこ居そうだよな」と思っていました。

エクストラトーンはリスナーからすると際物ジャンルですが、作曲家にとってはガバキックを連打するだけで完成してしまうので、意外とポピュラーなジャンルです。

1秒で何かを表現しようとすると、やっぱり皆エクストラトーンを作るだろうなと予想していましたが、予想が的中しました。

僕は他人と同じことをするのがあまり好きではないので、何か違うことをやりたいなと考えていました。

 

なので、僕はエクストラトーンとは真逆の、静かなDub Technoを2曲目として提出しました。

1秒なのでほとんどDub Technoには聴こえませんが、現にDub Technoを提出したのは僕だけです。

他人と違っていれば良いというものではありませんが、「エクストラトーンを出せば目立つぞ」と思いあがって終わるだけよりはマシだったと思います。

 

あと、Dieで死んだ人を生き返す意味も込めてLiveというタイトルをつけました。

音圧を上げたい派も上げたくない派も清く前向きに生きてくれという思いを込めてます。どうせ無理だけど。

 

こちらはそこそこサンプルパックを使用しています。

ドラムはARTISAN AUDIO「Dub Techno 2」から「AA_28_DL_Full_120」を使用しました。

 

Dub Techno特有のStab(リバーブやディレイのかかったコード)にはTEMPORAL GEOMETRY「Chill Chords」から「Chill Chords_Multi_B_80_03」を使用。

 

曲の締めに載せてるグリッチはEMPORAL GEOMETRY「Energy Core EDM Elements」の「130EnergyCoreGlitches05」です。

 

それから、ベースにはFL Studio標準の3x Oscを使用しました。

何気に初めて使いました。サイン波のシンプルなサブベースです。

ただこのシンセ、ちょっとノイズが乗ってしまって気になることがしばしば…。

リード(?)も3x Oscです。

 

 

言いたいことは山々あるけれど

今の社会に物申したいことは沢山ありますが、僕は基本的には口にしないようにしています。

反論意見というものは、傍から見ている人にとってはあまり快いものではないからです。

ただ、この件に関しては我慢ならなかったので、少し愚痴を零したまでです。

単なる愚痴なので、反論は受け付けていません。これは議論ではなく単なる文句ですので…。

 

そうそう、意見を言うと反論されて人格を否定されるから嫌なんです。

うだうだ意見なんて言わずに、黙って行動していたいタイプです。

なんだか締めの言葉が見つからないので、最後にあの言葉を叫んで終わりたいと思います。

 

Die!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!