【楽曲解説】Icy Cave
楽曲情報
cutable『Dream Diary Page.02』Track.01
Icy Cave
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2ndアルバムの解説に入るよ~
というわけでおはようございま!ヒズミ零(cutable)です。
ようやく1stアルバムの「Dream Diary Page.01」の解説を終わらせ、パペッタの解説も済ませたところで、2ndアルバムの解説を一気に進めていきます(一気に進むとは言っていない)。
2ndアルバムは6曲しかないので、1stよりは楽そうですね(1stは9曲もありました。おバカです)。
曲数が短い分、1曲あたりの再生時間が長めのアルバムとなっております。
半分くらいTechno/House系のジャンルだからでしょうか。
今回のアルバムは「Liquid」すなわち液体をモチーフにしています。
なのでアルバムの至るところでちゃぷちゃぷザーザーごぽごぽしています。
水音ASMR…ではないんですけど、とにかく水系のフォーリーをこれでもか!というくらい使っています。
ちなみに「液体」とはいってもほぼほぼ「水」限定です。硫酸とか血液みたいな物騒なものは出てきません。
大体が「氷」とか「雨」とか「海」です。っていうかぶっちゃけ後半4曲全部が海関係です。海は偉大。
アルバムが進むにつれ、水深がちょっとずつ深くなっていきます。
それでは早速1曲目の「Icy Cave」の解説から始めましょう~
Icy Caveについて
Icy CaveはAmbient Technoというジャンルを目指して作った曲です。
Ambient TechnoはDub Technoと結構似てるんですが、とりあえずAmbientとTechnoを安直に混ぜたようなジャンルと考えて問題ないと思います。
Dub Technoはディレイでぽわんぽわんさせることが特徴ですが、Ambient Technoはリバーブでほわーんっていう感じにするのが特徴的…だと勝手に思い込んでいます。
とはいえ、境界は曖昧なので、そのあたりは何となーくの分類で良いと思います。
そういえば、この曲あたりから、ディレイやリバーブのエフェクトがけに力を入れ始めたような気がします。
D16 Group「Repeater」(ディレイ)やFabfilter「Pro-R」(リバーブ)を買ったのもこの曲を作り始めた頃だったと思います。
AmbientとかChill outでは、ディレイとリバーブはほぼ必須ですからね~これがないと曲を作る気にならないです。顔面に水をぶっかけられたアンパンマンみたいになります。
この曲は「Dream Diary」と同じく、サンプルパックにあまり頼らず、大方自分で作りました。理由も同じく、とある公募に出すためで、落選したというのも同じなんですが…。何の公募かは、120BPMというテンポから察してください。
コード進行とかすんごいシンプルで、展開の少ない地味な曲ですが、個人的にお気に入りの曲です。
でも、プロジェクトファイル開いてみたら、サンプルの数とパターンの数が少なくて(要するにそんなに作り込まれてなくて)驚きました。
もう少し作り込んでるイメージがあった…。というか、サンプルのリネームさえしてませんでした。すんごい雑です。やっぱりプロジェクトファイルが落選を物語ってますね。
テンポは120BPMとキリの良い数字です。特に意味は込めていません。
曲のイメージは曲名通り「氷の洞窟」です。鍾乳洞みたいな暗めの洞窟をイメージしています(っていうか、明るい洞窟なんてそうそう無いですもんね…)。
氷が溶けて水が滴り、その水が小さな川を作り、その川の水にも氷が浮いていて、氷同士が触れ合いカランカランと音を立てる…そんな情景をイメージしています。神秘的。
ゆめ2っきにこういうマップがあってほしい。ちなみに、公募応募時は「Lucid Dream(明晰夢)」というタイトルでした。このタイトルはここぞというときに使いたいので曲名を変えるに至りました。
氷の洞窟ということなので、この曲では水系のフォーリーに加え、氷の音を出せる音源やサンプルパックを使っています。これがすごく綺麗なんですよね~高い音源ですけど…。
是非とも耳を澄ませて、氷が立てるカランカランという音を聴いてほしいです。癒されると思います。多分。
涼しげな雰囲気ですね。冬っぽいけど、夏に聴いて涼みたい気もします。
使用した音源
ベース
ベースはみんな大好きXfer「Serum」です。
サブベース系の音なんですが、例のシンセは使わず、Serumくんに任せています。
今回はLOOPMASTERS「Ambient Sound - Serum Presets」を使いました。
ここから「PW122_Bass_Sub_02」を選んで使っています。
なんかこのプリセット、前にも使った気がしなくもないです。
パッド
パッドは3つくらい音源を重ねています。やっぱりAmbient系はこれくらいパッドを重ねても良いと思います。
今回使用した音源は
- Native Instruments「Ethereal Earth」
- Sonic Couture「Geosonics」
- 「Serum」
です。Serum以外は初出の音源かもしれないですね。紹介しておきます。
Native Instruments「Ethereal Earth」は前に1回だけ使ったかもしれないです(DD01の2曲目で使ってました)。
アンビエント系の音源です。2つの音を単純に混ぜ合わせる(普通に音量バランスでミックスできます)ことによって音を作ることができます。
今回は「Alice Dark」と「Synthed Rain」を80%/20%の割合で混ぜています。
この音の組み合わせとバランスにはプリセットが用意されていて、今回は「Water Therapy」というプリセットを使っているみたいです。
今回一番推したいのはSonic Couture「Geosonics」です。
この音源すごく良いんですよ~!
この音源は氷河とか砂漠とか沼地とか、色々な場所で録音した環境音に、シンセの音を混ぜることのできる音源です。
プリセットもたくさんありますし、録音された環境音を単体で鳴らすこともできます。
「そんなのサンプルパックで良くない?」と一瞬思うんですが、ループ処理がちゃんとされているので、サンプルパックより便利です。
今回はその他の音源でシンセ音を入れているので、環境音だけ取り出して曲に使いました。
今回は「Icy Crystal Draft」というプリセットを使っているみたいです。
Pitched1とPitched2は確かシンセ音を出す部分なので、そこの音量を0にして、環境音を出せるNaturalの部分だけアクティブにしています。
もう1つの音源は例によってSerumです。Serumのパッドは本当に綺麗です。
今回使ったシンセプリセットはBLACK OCTOPUS「Ambinet Selection - by AK & Tim Schaufert」です。
これはサンプルパックメインの製品なんですが、おまけで少しだけシンセプリセットがついてきます。
そのなかから「PD Delay Pad」という音を選んでいます。
ぽんぽんぽんぽん…という不思議な音です。ちょっとDub Technoっぽい音かも?
いずれにせよお気に入りの音です。すごく綺麗。
ピアノ
Native Instruments「The Grandeur」。説明不要!以上!
ただ、今回はピアノの音をwavデータに書き出して、逆再生してリバースピアノにしています。これもまた綺麗な音ですごく気に入っています。
リバースピアノを作るときは、コードやメロディを反対の時間軸から並べる必要があります。
また、無音状態から音がフェードインしてくるようにするには、逆再生する前から、リリース後に無音になるよう調整する必要があります。
アルペジオ
曲の後半では、パッドだけでは曲が持たなくなってきたので、オルゴールみたいなアルペジオの音を入れています。
キラキラしている綺麗な音です。アルペジオはそう、あの子の出番。
SPECTRASONICS「Omnisphere 2」です。綺麗なアルペジオといえばこの音源。
今回は「Glass Spark Bubbles」というプリセットを偶然見つけて「めちゃいいな~」って思ったのでそのまま使いました。
コードを弾くだけで音をアルペジオにしてくれます。
メロディアスな感じよりアブストラクトな感じが出て幻想的なプリセットです。
また使いたいくらいの良いプリセット。
リード
リードと呼べるかは分かりませんが、もう1つだけオルゴールみたいなプラック音を重ねています(何でもかんでもオルゴールみたいなって言うのやめた方が良い気がしてきた)。
こちらの方がメロディーのはっきりした音です。プラックリードと言えば良いのかな?
ベル系の音なのでベルリードとも呼べるかもしれないけど…。
今回は珍しくLennarDigital「Sylenth1」でこういう系統の音を出しました。
Sylenth1もやればこんな綺麗な音出せるんですね…すごい。
今回はDELECTABLE RECORDS「Future Chill Presets Mega Pack」というシンセプリセットを使いました。
Sylenth1だけでなく、SerumやMassiveのチルいプリセットがたくさん入っている良い感じのシンセプリセットです。
この曲では「Pluck 0110」というプリセットを選んで使っています。チルアウトにぴったりな綺麗な音です。
っていうかこのシンセプリセットめちゃくちゃ良いですね。もっと使わないと…。
ジャケットが地味で渋い割にはすごく良い音がします。
使用したサンプルパック
ドラム
今回の曲はAmbient Technoなので、類似ジャンルであるDub Technoのサンプルパックからほとんど音を持ってきています。
まず、キックの音はHOUSE OF LOOP「Dub Techno Intention」の「HL_DTI_KICK_SHOT_012」です。あぁ~!良いキックの音ォ~!
また、音量が小さく、高音トランジェント成分弱めのディープなキックを、ゴーストキック(こっそり混ぜてリズム感を高めるためのドラム)として忍ばせています。
よくよく聴くとメインのキックの裏拍でどんどこ鳴っているのが分かる…はず…多分。
これにはARTISAN AUDIO「Dub Techno」の「DT_Bassdrum_13」を使いました。
クラップ…というかスナップ?と言うのでしょうか…指パッチンみたいな綺麗な音にはまた違うサンプルパックから音を選んでいます。
紹介するのが面倒なくらい、上手くサンプルパックがバラけてますね…。
今回は5PIN MEDIA「Ambient Techno & Electronic Dreams」を使っています。
Ambient Technoのサンプルパックはとても稀有。「ATE_Clap_08」を使いました。
…かと思えば、ハイハットのループには同じサンプルパックの「ATE_Drum_02_Hihat_120」を使っています。
(どうせなら全部違うサンプルパックから選べばいいのに…)
この上に、パーカッションとしてミニマルなグリッチ音を乗せています。
これも、普段よく使っているTEMPORAL GEOMETRY「Intelligent Machines / Minimal Glitches」です。
今回は3つ使っています。「IntelligentMachines120bpm051」と「IntelligentMachines120bpm060」と「IntelligentMachines120bpm062」。
こういうサンプルはかなり数があってバリエーション豊かなので、贅沢に幾つもサンプルを使うことがあります。
よくやる手法は、メインサンプルをA、サブサンプルをB、アクセントサンプルをCとして、A→B→A→Cと並べる手法です。音楽ではよくあるやり方ですね。
また、アンビエント系のリムショットとしてBLACK OCTOPUS「Ambient Rimshots by AK」を使いました。
これも定番。チルい曲で本当によく使います。
今回は何故か2つ使い分けています。無駄に器用ですね。
「AR_Rimshot_025」と「AR_Rimshot_030」。
そして、フィルイン代わりにグリッチの音を混ぜています。
これもTEMPORAL GEOMETRYのサンプルパックですが、「Nanowaves Micro-Granular Processing」というまた別のサンプルパックです。
今回は「Nanowaves120bpm076」をチョイス。あぁ~!スタイリッシュな音ォ!
エフェクト&フォーリー
トランジションエフェクトとして、BLACK OCTOPUS「Ambinet Selection - by AK & Tim Schaufert」を使いました。ここではプリセットではなくサンプルを使ってます。
「Impact 004」というサンプルです。めちゃくちゃ綺麗な音。癒される…。
ちなみに逆再生した音も重ねています。
それから、ドラム隊を補助するフォーリーとして、水と氷の音を混ぜています。
水の音はBLUEZONE「Splash Sound Effects」から持ってきました。
水系のサンプルパックが大好きで、結構コレクションしてます(というか、ジャケットが大体綺麗で欲しくなるというのが真相)。
BLUEZONEは水系のサンプルパックを幾つか出しているので、多分全部持ってます。
今回は「Bluezone_BC0256_water_splash_small_003」と「Bluezone_BC0256_water_splash_small_017」の2つを使いました。
氷の音はKYMOGRAPH「Acoustic Breaks Loop」から引っ張ってきています。
結構色々頑張って音を加工して、オリジナルのフォーリーループを作りました。
今回は「05_Foley_Ice」と「06_Foley_Ice」「12_Foley_Ice」に活躍してもらいました。
氷がカランカランと鳴り響くサンプルは非常に希少な気がします。綺麗な音すぎて陶酔してしまう。
良いお年を!
という訳で、結局この記事を書くのに1ヶ月くらいかかりました。ブログ向いてないと思う。
そんなこんなで、今回の記事が恐らく今年最後の記事になります。
水と氷の音が奏でるAmbient Technoをお供に、年越ししてみてはいかがでしょうか(ちなみに僕はやりません)。
それでは皆さん、良いお年を~!