青零(セイレイ)

映像制作・作詞担当のアオねこ(aoneko)と、ボカロP・トラックメーカーのヒズミ零(cutable)の情報をまとめた公式ブログです

【楽曲解説】Skyscraper

楽曲情報

cutable『Dream Diary Page.01』Track.07

Skyscraper

 

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速いのにチルいDrum'n'Bass

だんだんDream Diary Page.01の楽曲解説も終わりが見えてきましたね…。

最後まで頑張ろう~というわけで、7曲目「Skyscraper」の解説です。

 

早速ですが、この曲はLiquid Drum'n'Bassというジャンルです。

他にもAmbient Drum'n'BassとかAtmospheric Drum'n'Bassとか、それからLiquid Funkとか、色々な呼び名があります。

 

特にLiquid Funkという呼称は、Neuro Funkというジャンルと対照的なので、こちらの方がポピュラーなジャンル名かもしれません。

でも、必ずしもFunkではないし、そもそもFunkってよく分かんないし…という事情があり、僕はLiquid Drum'n'Bassと呼んでいます。

 

本当はAmbient Drum'n'Bassというジャンル名の方が「Ambient寄りのDrum'n'Bassなんだな~」って分かりやすいので好きなのですが、

Liquid Drum'n'Bassの方が広く知られているし、何より「Liquid」の響きと字面がカッコイイのでLiquid Drum'n'Bassと呼んでいます。

 

Liquid Drum'n'BassはDrum'n'Bassのサブジャンルです。

Drum'n'BassはDnB、D&B、Drum&Bass、Drum and Bassとも呼ばれます。

でも、Drum and Bassというのはジャンル名として微妙ですよね…どんなジャンルでもドラムとベースは必ずあるし…。

 

Drum'n'Bassは、160~200BPMくらいの比較的早いテンポ、かつ4つ打ちでない不規則なリズムが特徴のジャンルです。

基本的にDrum'n'Bassはアグレッシブで、ニューロベースとかワブルベースが鳴るDrum'n'Bassも非常に多い…というかそれが主流です。

 

そのなかでも、チルアウトに寄っていて綺麗な雰囲気のあるものをLiquid Drum'n'Bassと呼びます。

僕はもともと速い音楽が好きだし、チルい曲も好きなので、チルくて速い音楽が好きになるのもある意味必然だったと思います。

 

ちなみに、Liquid Drum'n'Bassを4つ打ちにしてHardcore Techno/Hardtek寄りにした音楽を、僕は勝手に「Liquid Hardtek」と命名しています。

今後作って広めたいなーと思っていますが、あまりやる気がないので多分広まらないと思います。

それでも、速くてチルいジャンル=Liquid Drum'n'Bassだけ、というのは寂しいので、Liquid Hardtekも流行ってほしいな…。

 

ちなみに、Skyscraperは170BPMです。BPMの語呂合わせが思い付かなかったのでキリの良い数字にしました。

あと、Skyscraperは日本語で「摩天楼」「高層建築」という意味です。

実はこの曲のモデルになったゆめにっき派生のマップがあるのですが…まぁ、秘密にしておきましょう。

 

使用した音源

ちょっと早いですが、音源紹介に入っていきます。

 

ベース

ベースは例によってXfer「Serum」を使いました。本当に毎回使うシンセです。


Liquid Drum'n'BassはAmbient寄りのDrum'n'Bassなので、ベースを使わない曲もたまーにあります。

でも、ベースを入れないと「ベースがないならDrum and Drumじゃないの」って揶揄されることもあるので、仕方なく入れることにしました。

 

今回はLOOPMASTERS「Dark & Atmospheric DnB - Serum Presets」を使いました。

例のPatchworxシリーズの第113弾です。ジャケットがオシャレ。

 

今回は「PW113_Bass_Downlow」というプリセットを使いました。

比較的穏やかで尖りの少ない、温かみのあるリースベースみたいな音です。

とても良い音です。


パッド

パッドはNative Instruments「Massive」を使っています。

Massiveでパッドを鳴らすのは結構珍しいケースですね。

だいたいアグレッシブなベースやリードに使うんですが…。


今回はAUDIO MODERN「Continuum」というシンセプリセットを使いました。

ただ残念ながら、このシンセプリセットはSonicwireからだけでなく、公式ホームページからも消えてしまいました…。

 

しかし、何故かSpliceには奇跡的に残っています。

サンプルパックの流通先をSpliceに一本化するケースはよくあるのですが、Spliceはシンセプリセットを1つずつしかダウンロードできないため不便です…なのでやめてほしい。

 

それにしても、公式ホームページから消えてしまうのは謎ですね…。

無かったことにでもしたいのでしょうか…。闇に葬られたシンセプリセット。

 

今回は「LANDING PAD」というプリセットを使いました。

とても綺麗な音です。マクロコントロールでいろいろ弄れます。

 

プラック

曲を展開させるときに鳴らしているプラックはXfer「Serum」です。

今回はLP24AUDIO「Serum - Essential Pluck Collection」を使用しました。

 

このプリセットは4曲目「Lonely Sick Dimension」でも使いましたね。

今回は「PLUCK - Full Bloom」というプリセットを選びました。 


使用したサンプルパック

本命のサンプルパック紹介です。

実は僕、今回のためにLiquid Drum'n'Bass系のサンプルパックをまとめ買いしています。

多分20~30個くらいは持ってるんじゃないかな…。

SonicwireにあるLiquid Drum'n'Bass系のサンプルパックは9割方買いました。

 

折角集めたので、そのうちジャンル別にサンプルパックをまとめてレビューする記事を書くかもしれません。

もしかしたら、それ専用のブログを作るかも。

 

ドラム

キックとスネアにはSINGOMAKERS「Atmospheric Drum & Bass」を使いました。

それぞれ「SADB_Kick_10」「SADB_Snare_05」です。

カッコイイようなダサいような、何とも言えないジャケットです…。

でも、SINGOMAKERSはとても評判の良いサンプルパックメーカーです。おすすめ。

 

また、ミニマルなパーカッション素材「SADB_165_BPM_Minimalistic_Beat_21」も使いました。

妙なステレオ感がちょっと気持ち悪いんですが、結局使っちゃいましたね…。


ビルドアップとかで使うクラップには例のアレを使いました。

そう、NEW LOOPS「Premium Claps & Snares」です。

良い感じの音が無かった場合はこいつに逃げます。

…まぁ、このサンプルにも良い音が無く、考えあぐねることも多いのですが…。

今回は「PCS_Plate-036」を選びました。

 

トップループにはSINGOMAKERS「Drum & Bass Stratosphere」を使いました。またSINGOMAKERSです。

製品名にLiquid要素はあまりありませんが、これもLiquid系のサンプルパックです。

今回使ったのは「SDBS_172_Top_Loop_40」。

ジャケットは相変わらず謎で意味不明ですが、こいつはちょっとカッコイイ気もします。でも、宇宙服パグと宇宙人はやっぱり謎です。


トランジション系ドラム

フィルには2種類のサンプルを使っています。

HY2ROGEN「Essential Fills Vol.5」から「PSEF5 Drum Fill 68 128 BPM」を、

HY2ROGEN「Essential Fills Vol.2」から「PSEF2 Essential Fill 008 128 BPM」を選びました。

僕は変に几帳面なので、ファイル名がちゃんと統一されていないのがちょっと嫌です。

 

後者のサンプルは後ろの部分を切り出して、そこだけ使っています。

ドラムがスピードコアみたいにドゥルルルルwwwってなるサンプルです。

Rに寄った音だったので、LRを反転させたフィルも用意しています。


そして、スウィープ系のトランジションとして、クラッシュシンバルの音を使いました。

SINGOMAKERS「Atmo Drum & Bass」から「SATD_Crash_08」です。逆再生した音も使っています。

またまたSINGOMAKERSです。多分、SINGOMAKERSが出しているLiquid Drum'n'Bass系のサンプルパックは現状この3つだと思います。

サーファーの服がなんか古臭いですが、背景綺麗ですね。


メロディ

この曲のメロディとなっているピアノも、実はサンプルパックです。

さっき紹介したSINGOMAKERS「Atmospheric Drum & Bass」のなかに「SADB_165_BPM_C#_Ambient_Piano_Loop_01」という良いサンプルがあったので使いました。

 

ただ、これはピアノだけのループ素材で、ベースやパッドはついていません。

そのため、メロディ=ベースと見立ててベースを作り、そこからコードを考えてパッドを鳴らして肉付けしました。プラックもメロディと同じ旋律です。

 

また、変化をつけるため、このピアノループを途中から逆再生しています。

それに伴って、ベースやコードも途中から逆に動きます。

 

エフェクト

SOUNDBOX「Impacts, Risers & Impacts 3」から「SB_IR&D3_128_RISE_075」、

SOUNDBOX「Impacts, Risers & Impacts 7」から「SB_IR&D_7_128_IMPACT_008」。

以上!


テクスチャ

テクスチャとなる風の音はVIDEO COPILOT「Motion Pulse Organic」です。

「Wind_Rumble_02」を使用しました。

 

前にも書いた通り、ここはサンプルパックメーカーではなくお兄ちゃん御用達の映像プラグインメーカーです。

なんですが、何故か音素材も売ってるのでお兄ちゃんに買ってもらいました。

素材数は少ないですが、良い音が揃ってます。知る人ぞ知る、隠れたサンプルパックです。


サンプルの間にノイズが入ってしまったら…

といった感じで今回は曲を完成させたのですが、完成直前になってから、とある問題に気が付きました。

 

…なんか、ループサンプル同士の繋ぎ目に「プチッ」という謎のノイズが入るんです。

調べてもなかなか分からず困っていたのですが、ようやく原因が分かりました。

 

サンプルは基本的にwavデータ、つまり音声波形データです。

この波形のインとアウトの形が合わないと、サンプルの繋ぎ目に「プチッ」というノイズが入ってしまうそうです。

音量にオートメーションをかけると治るとのことですが、僕の場合その方法では上手く治らず…。

 

そこで使ったのがiZotope「RX 7 Elements」です。

こいつは何かのセールで買って以来、何の出番もなく放置していたプラグインなんですが…。

 

これはノイズリダクション・オーディオリペア系のプラグインです。

グレードによって使える機能の数に差がありますが、こうしたプチノイズ(クリックノイズ)除去は最下位グレードのElementsでも可能です。

De-clickという機能を使うと、びっくりするくらい綺麗にプチノイズを除去してくれます。

 

「ノイズリダクションとかオーディオリペアとかは楽器とかボーカルを録音する人が使うプラグインだから、打ち込み勢の僕には関係ないな…」って思っていましたが、案外そうでもありませんでした。

サンプルパック、つまりwavデータを扱う以上、やはりオーディオリペア系のプラグインが役に立つこともあります。

セールとはいえ、買っておいて良かったなぁと思いました。


Liquid Drum'n'Bass流行って

というわけで「Skyscraper」の解説でした。

 

Liquid Drum'n'Bassはかなり好きなジャンルなんですが、日本ではあまり作っている人がいなくて寂しいです。

Liquid Drum'n'Bassを自称していても、無駄にボーカルが入っていたり、派手すぎたりしてチルくない曲もけっこう多くて…。

 

なので、Ambient感のあるチルいLiquid Drum'n'Bassはやっぱり数が少ないです。

あ、でもこのチャンネルとかには良い感じのLiquid Drum'n'Bass Mixがたくさん上がってます。

やっぱりチル系は海外の方が強いのかなぁ…日本はあまりチルアウトが好きじゃないみたい。


というわけなので、僕は今後もLiquid Drum'n'Bassを量産します。

Dream Diary Page.02にもLiquid Drum'n'Bassを収録しているので、そちらもどうぞ~

それでは、さようなら~!